【ドル円】過去の日銀為替介入ではどの程度相場が動いたのか?

この投稿では過去日銀が為替介入した時に相場がどの程度変動したのかをシェアしたいと思います。


6月13日のアジア時間にドル円が一時135円を突破しました。

6月10日に1ドル134円を突破した際には、政府・日銀・金融庁の3者会合で急速な円安進行を「憂慮」、「一層の緊張感」といった、これまでより警戒感の高い言葉を用いた共同声明が出され、一時的にドル円は下落を見せたものの、直後に発表された米国CPIの予想を超える結果や、米国財務省の為替報告書による「為替介入は適切な事前協議を伴う非常に例外的な状況に限定されるべきだ」と介入をけん制するかのような報道を受けて、上の3者会合の結果を打ち消す形となっています。

市場関係者の見方としては、日銀が金融緩和を続けている中での円安阻止の介入は国際理解も得られにくいだろうと、為替介入に踏み切る可能性は低いとの見方が多勢のようです。

個人的にも、仮に為替介入があったとしても現在のドル円相場の急上昇の要因として言われている、日米の金融政策の違いや日銀のイールドカーブコントロールによる長期金利の抑え込みといったマクロ要因に変化がない限り、大局の流れに変化はないと考えているのですが、一方で、万が一介入が発生した場合にどの程度相場が動くものなのか気になったため、過去の事例を調べてみました。


主な過去の日銀為替介入(年月、介入通貨、規模、目的)

財務省が発表している1995年以降の為替介入の実績を確認したところ、1兆円超え規模かつ円買い介入の実績は1件でした。(もしかしたら見落としている可能性もありますので参考程度に留めてください。)

以下に示すように過去の為替介入はほとんど円高是正のための円売り介入です。

1. 95年2月〜9月   円売りドル買い、約5兆円、円高(1ドル79円水準)による日米貿易摩擦懸念解消(日米共同介入)
2. 98年4月       ドル売り円買い、約3兆円、円安是正(1ドル130円水準)
3. 01年9月     円売りドル買い、約3兆円、9.11の影響による円高阻止(1ドル115円水準)
4. 03年5月~04年3月  円売りドル買い、約32兆円、 デフレ克服、円高是正(1ドル105円水準)
5. 11年3月 円売りドル買い、約2兆円、 東日本大震災後の投機的な動きの抑制、円高是正(1ドル75円水準)(G7協調介入)



円買い介入での変動幅
1998年4月9日、10日に行われた円安是正のための介入時の相場の動きを見てみたいと思います。


ドル円週足

cuplikan

当時も79.5円を起点として、98年にピークの147.67円をつけるまで急激な円安が進行していた場面です。
介入があったのは青枠で囲った大陰線の部分です。
ただし、介入後も相場は上昇し続け、98年8月にピークをつけてから反転となっています。


日足
cuplikan


介入が行われた2日間のローソク足を青で囲っています。
9日は上下に長いひげをつけたコマ足、10日が大陰線で引けていますが、その翌日からは元のトレンドに沿って再び上昇し始めています。
少しチャートを引いてみると普通の押し目形成と変わらない動きと言えるでしょう。(下)

cuplikan


介入が行われた二日間の変動幅としてはおよそ6円(4.5%の調整率)。
2日で6円動けば現在の高ボラティリティ相場でもかなり大きいですが、それでも週足を見てもわかるようにその後1ヶ月で介入による調整幅を全戻ししていることから、効果はほとんどなかったということができると思います。


5月に財務省が発表した外貨準備高は4月末時点で1兆3222億ドル(約172兆円)と、過去20年で2倍超になっているものの1日あたりの円取引1.1兆ドルの1.2日分の規模にとどまるそうです。
外貨準備を全て投入ということはないでしょうから、98年の例からすると5,6円くらいの変動が発生する可能性は想定しておいても良いかもしれません。


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