【コラム】ドルインデックスの長期エリオット波動で過去20年間のドルの動きを振り返る

株価指数やコモディティ、仮想通貨、為替と今まで様々な金融資産のチャートのエリオット波動分析を投稿してきましたが、今回は米ドル単体の強弱を測るドルインデックスの長期エリオット波動を分析するとともに、過去20年間のドルの動きを振り返ってみたいと思います。


月足(マクロ)

以下のチャートはドルインデックスの過去40年の動きを捉えた月足チャートです。
実際にはもっと長期間のデータもあってさらに長いうねりでの波動を捉えられるのかもしれませんが、TradingViewで利用可能な最長データをもとに上昇・下降の流れに注目して長期波動をプロットしています。
より大きな時間軸で捉えることで波の解釈は変わるので、特に緑のボックス外の部分はご参考程度です。

今回は緑のボックスで囲った直近20年の動きにフォーカスして振り返ってみます。
当時の出来事と合わせてみることで、波のリズムを感じ取れるのではと思います。

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月足(ミクロ)
ここ20年の月足チャートに主要経済危機やイベントをプロットしたチャートです。

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大まかに動きを振り返ると、まず90年台後半から2000年初頭のドットコムバブルで直近20年間の最高値を記録。
この時はFRBによる利上げ期間だったこともあり、米ドルが強く上昇していた時期でもあったようです。

そこから9.11を経てドルが暴落。
ドルには、「有事のドル買い」という言葉に表されるように、経済危機や地政学的リスクに伴うリスクオフ時の逃避資産という側面もありますが、9.11ではその米国が有事の標的となったことで、ドルが売られ円やスイスフランが買われる動きとなりました。

2008年のリーマンショック直後にはドルの急騰が見られるものの、その後FRBが実施した量的緩和政策により下落。
以降2013年12月に量的緩和が終了するまでは上値を抑えられる形で、三角保ち合いの中を推移しました。

その均衡を破るきっかけとなったのが、2013年5月のバーナンキショックです。
当時のバーナンキFRB議長が突然金融緩和の終了を発表。市場はテーパー・タントラム(癇癪)と呼ばれる動揺に陥りました。
2014年に入って実際にテーパリングが開始されると、それまでの三角保ち合いの均衡をブレイク。2017年1月にピークを迎えるまで上昇を続けました。

2018年には2月と10月の2回の株価の暴落がありましたが、10月の暴落の前にはFRBの利上げ発表もありドルは上昇。

2020年2月のコロナショック後にFRBが打ち出した金融緩和により再びドルは下落という流れとなりました。


エリオット波動の観点
リーマンショック直後の上昇からバーナンキショックまでの三角保ち合いの期間をⅠ-Ⅱ波。
三角保ち合いブレイクの波をⅢ波と捉えています。
Ⅲ波以降は高値更新ができておらず(ブラック破線水平線)、また安値も切り上げていることから、現在は調整期間であるⅣ波と見ています。
もしかしたら、ブラックの斜線で示した大きなトライアングルの中で、ワンサイズ小さいトライアングル(ブラック点線安値切り上げライン)を形成するのかもしれません。
いずれにしてもⅢ波後のⅣ波トライアングル調整中と考えています。


最後にもう一度月足マクロのチャートに戻ってみたいと思います。


月足(マクロ: 再掲)

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緑のボックスの内部の月足Ⅱ波の三角保ち合いが終了するのに約5年かかっています。
ブレイクのトリガになったのは上で振り返った通り、バーナンキショックであることは間違いありません。
現在のレートが位置する月足Ⅳ波の三角保ち合いもブレイクには同程度の期間を要すると仮定すると、Ⅳ波の起点でもあるⅢ波から5年後はだいたい2022年の半ばから後半にかけてとなります。

2021年6月FOMCのドットチャートでは、当初の予定より早く2022年内に利上げを想定するメンバーが増加したことが示されました。
過去の歴史を振り返ると、当面は上記Ⅳ波トライアングル・月足の大三角保ち合い内での動きが続き、テーパリングの開始や利上げ実施とともにそれらをブレイクして月足でのⅤ波が発動する、というシナリオはリーズナブルなものだと考えられるかもしれません。

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